スエットからTシャツとショーパンという、なんともやる気のない格好に着替え、髪も適当に手グシで整え準備を終える。


普段から化粧っ気のない私は、これですぐ外出できてしまう。


毎朝早起きして、化粧や髪の毛に一時間以上もの時間を費やしているクラスメートがいた気がするけど、毎日ご苦労なことだなぁと思うよ。




「お母さん、ちょっと出かけてくる。」


リビングの掃除をしていたお母さんに声をかけ出かけようとすると、掃除機をかけていた手をとめ玄関まで出てきてくれた。


「あら、遠哉くんの応援?」


遠哉のお母さんと仲がいいうちの母親は、今日が試合だと言うことを知っているらしい。


「違うよ。図書館。」


「あら、そうなの?応援行ってあげないの?今日大会だって言ってたわよ。」


何も知らないお母さん。だから、幼なじみなんだから最後の大会くらい行ってあげたら?そんな軽い気持ちで言ったんだと思う。


私は


「行かない。夕飯までには戻るから、じゃあね。」


そう言って家を出た。


薄情な奴って思われてもいいや。


行けないもんは行けないんだもん。