「キャー!松永くぅ〜ん!」


「こっち見てぇ〜!」




フェンスにへばりついて黄色声援を送ってくる女子たちにウンザリしながらも、


俺は得意の王子スマイルで、女子たちに手を振る。




「キャー!今松永くん、私に笑ってくれたよね?!」


勝手に勘違いして、勝手に盛り上がってる奴ら。


野球になんてどうせ興味がなくて、アイドルの追っかけ感覚で練習を見にきている。


その単純さが、俺には都合がいいんだけど。




「いいから真面目に練習しろ。」


後ろから頭を叩かれ振り返ると、そこには怖い顔をして俺を睨んでいる、


野球部キャプテン、
宮崎琢斗がいた。