「送ってく。」


俺のその言葉に首を振った持田の目は、うっすら赤くなっていた。




「また明日、教室でね。」


部活はこれで最後だけど、俺たちはまだこれからも顔を合わせる。


教室に入れば、


俺たちの関係は


部員とマネージャーでも


…それ以上でもない。




今まで通り、仲のいいトモダチ。




『ありがとう、夢乃。』


あいつには言えない言葉を、俺は胸にしまいこんだ。




だって俺には、


壊したくないものが、たくさんあったから――