俺にとっても、これが高校最後の大会。




ぜってー負けられない理由があるから。




俺の、これまでのテニス人生の全てをぶつけてやる。





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練習を終え教室に戻ると、


暗い教室にまた一人で、こいつがいた。




机に俯せになり、静かな寝息を立てている亜子。




こいつは帰宅部のはずなのに。


毎日こんな時間まで何してんだよ。







そんなことを考えていると


「あれ、トーヤ?」


ついさっきまで寝ていた亜子が、静かに目を覚ました。




「お前…こんな時間まで何やってんの?」


「何って、寝てた。」




全く答えになっていない答えを返してくる亜子に、思わず俺はため息を零す。