なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?





「どーも〜」


次の生徒の挨拶に、




「あ、あいつらだ。」


俺が反応する。




「あぁ、同じクラスの。」




「こいつらはそこそこ上手いはずだから、安心して。」




「へー…」


俺の言葉にも亜子はそれほど期待していない様子で、やる気なく答えた。




そして一曲目。




ドラムの奴のスティックを叩く音で前奏がスタートする。




それを聞いて、それまで反応が薄かった亜子が












「これ…」




「なんでこの曲…」


驚いて俺の顔を見る。










「こいつらに、頼んだんだ。これ演奏してくれって。お前好きだろ、この曲。」




「そうだけど、なんで?」


どうしてそれを知ってるの?とでも言いたそうな顔。




そりゃあ、知ってるさ。









「放課後、よくお前一人で口づさんでただろ。」








俺は、いつもお前を見ていたんだから…