なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?



少しだけ距離を置いて座る俺達。


小さい頃は当たり前のようにくっついて歩いてて、いつも一緒にいたのに


いつからだろう。


男と女を意識し始めて、俺達の間に見えない壁ができ始めたのは…








「ねえ、なんでバンド演奏聴きたいなんて言ったの?」


「トーヤって音楽そんなに好きだっけ?」




「うーん…そこまでだけど。たまに聴くくらい?」


「でも、クラスの奴らが出るらしくてさ。」




「ふーーん。」




亜子は、興味なさそうに俺の話を聞いていた。


こいつから話題を振ってきたくせに。









体育館からは、下級生らしい奴らの下手くそな演奏が響いていた。


今流行りのアーティストをコピーしているみたいだけど、全く音がとれていなくて自己満足の演奏。




その音で気分を悪くしたのか亜子は、眉を顰めて怪訝な表情をしていた。