なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?



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外の模擬店を回っていると、テントの中に見慣れた顔が。




「遠哉、頑張ってる?」


ひょっこりテントの中に顔を出すと、遠哉が汗だくになりながらたこ焼きを焼いていて、それが面白くて思わず声をかけてしまう。




「夢乃!買いに来てくれたの?!」


私たちの顔を見て、真剣だった遠哉の顔はいつもの調子のいい笑顔に戻る。


背中に“祭"と書いた法被が似合い過ぎてる遠哉。


…さすが、我らがお祭り男。




「んーん。遠哉頑張ってるかなぁーって見にきたの。」


「なんだよ〜冷やかしに来たのかよーー!お前らはいいよなぁ…仲良くデートで。」


口を尖らせる遠哉。それが可愛いくて




「あはは、ごめんね。でも、ひとつもらうよ。遠哉が焼いたたこ焼き食べたいし!」


ひとつ売上に貢献することにした。




そしたら遠哉は




「まいど!」


凄く嬉しそうに、大声出してそう言うの。




遠哉は、クルクル表情が変わって本当に面白いよ。


それに、ほんとにハマり過ぎてる…


もし就職が決まらなかったら、たこ焼き屋さんやればいいのに。












「ありがとう。頑張ってね!」


遠哉からたこ焼きを受け取ると、手を振り私たちはその場を後にする。




そのたこ焼きは容器から溢れていて、オマケしてくれたんだってことが一目で分かった。




振り返ると遠哉はまた何やら亜子に怒られてるみたいで、顔が思わず綻んでしまった。