なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?



後ろ髪ひかれる想いでその教室の前を通り過ぎようとした所で、




「そこのお二人さん!」


お化け屋敷の前で呼び込みしている、2年生の男の子に呼び止められた。


「デートのついでにどうですか?!お化け屋敷!!」


見るからにチャラそうな男子生徒の軽いノリと押しの強さに、そのまま引っ張られそうになる。




………っ


何か言葉を発そうにもこういう強引さに慣れていない私は、萎縮してしまってうまく言葉がでない。










そんな私の様子を見て




「こいつ、こういうの苦手なんで。」


琢斗は男子生徒が掴んでいる手を私から引き離して


「お前、昔から怖い話とかしてる時耳塞いでたろ。」


「ダメなもんはダメって言えよ。」


そう、珍しく真っ直ぐ私の目を見て言った。




私を男子生徒から庇うような強い力とその目は、他の誰でもない、私へ向けられたもの。


あえてお化け屋敷について触れなかったのは、私を気遣ってのことだって、自惚れてもいいの…?




琢斗はいつだって周りに無関心に見せて、どこまで私たちのことを知っているんだろう。













「ありがとう…私のこと気遣ってくれたんだね。」


嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。




「別に…」


琢斗は照れ隠しをするように、せっかく合わせてくれた目をフイっと逸らしてしまうけど




そんな姿も愛おしかった。