夢だったのか?


さっきまで俺の腕の中に橘がいたなんてまだ信じられなかった。


「昨日から出掛けてばっかだし変な風に思われたくないから家に帰る」


そう言って橘は帰ってしまった。


まだ朝9時。
いつもなら寝ている時間だ。


あまりの出来事に全然実感がわかなかった。


でも、橘を抱きしめた時のぬくもりと指で拭いた涙の感触………


そして、緊張が伝わってきた唇の感触。


本当は何回もしたかったけど、橘があまりに緊張していたから軽く触れてすぐ離した。


せっかく好きだって言ってくれたのにこんな事で嫌われたくなかった。


絶対にかなわない恋だと思っていたから。