白い吐息


「それで2人の本当の気持ちが分かるってことよ」

関口先生は琴に向かってピースサインをする。
琴も自分の手でピースを作って眺めた。

「それを知っても変わらずあなたを好きと言ってくれたら、白居くんの気持ちは本物よ。でも逆に、そのことを知って彼を失う可能性もある」

「リスク…ですか」

「恋愛ギャンブルね。でも結果はどうあれ、あなたの本当の気持ちは分かるはずよ」

琴は関口先生の言葉に首を傾げた。


自分の本当の気持ちが分かるってどうゆうこと?


そんなことを考えていると、あっという間に午後の授業が終わってしまった。
いつもなら職員室の時間、でも今日から琴には仕事があった。
帰りのホームルーム。
真人の顔は朝から一度も見ていない。
ただ、あの不機嫌そうな声を聞いただけ…。
そのことが気になってしょうがない琴だったが、これは仕事。
気持ちを入れ替えて2-Bの教室へやってきた。

「ホームルームだよ」

廊下で騒いでいる生徒に声をかけ、琴は教室に入った。