白い吐息


ホットミルクに沈めていた目を窓の外に向ける琴。

「そうなの?」

「外見も仕草もやる事も…驚くほど似てる瞬間があるんです」

「似たタイプの人を好きになることはよくあることだと思うけど、それとは違うの?」

関口先生は遠くを見る琴の瞳に話し掛ける。

「私…白居くんの中に白居先生を重ねてしまってるような気がして怖いんです」

「怖い?」

「白居くんにそのことを見抜かれてしまいそうで…」

彼を傷つけて
嫌われるのが怖いの…


「そのことが確かならでしょ。あなたの気持ち次第の問題ね」

その言葉に琴の視線が戻ってくる。

「自分の気持ちが分からないときはどうしたらいいんですか?」

「自分を試してみることじゃない」

関口先生はまっすぐ琴と向き合った。

「試す?」

「あなたが白居くんを本当に必要としているかどうかをね」

「そんなこと、どうやって?」

疑問だらけの琴は不安そうな表情で関口先生の顔を覗き込んだ。

「白居くんには先生の存在は話したの?」

「はい…」

「好きだったってことは伝えてあるのよね?」

「はい…」

「似てるってことは?」

「それは…まだ……」

小さくなる琴の声。

「だったら、それを白居くんに伝えなさい」

関口先生は真剣な目で言い放った。

「似てるってことを話すんですか…?」

「一石二鳥よ」

一石二鳥?