白い吐息

琴は昨日の出来事を全て関口先生に話してみた。
勿論、真人との恋約のことも全て。

「何!?森下の奴そんなことしたの!?」

「関口先生、声でかい」

琴は立ち上がった先生の肩を押さえた。

「だって、それって犯罪じゃない。誰かに言ったの?」

「…先生が初めてです」

「信じられない。強迫なんて教師失格でしょ」

頭を抱える関口先生。

「アイツ、バチがあたったのよ」

「バチ?」

「ケガよ、ケガ」

関口先生の鼻息が荒くなっていく。

「あぁ…事故って、何があったんですか?」

「自宅マンションの階段から転げ落ちたんだって」

「階段…ですか」

「本人は誰かに突き落とされたみたいなこと話してるらしいけど、酔っ払ってコケただけじゃないの」

関口先生は興奮を押さえる為か、コップいっぱいに水をくんで一気に飲み干した。

「突き落とし…?」

「コケたのよ…」