白い吐息


「その人も、白衣着てたんだ…」

「ごめんなさい。思い出させるようなことばかりして…」

「あっ!違うの!白居くんが悪い訳じゃないの!私が勝手に驚いてるだけだから!」

琴はうなだれてる真人に気付き、慌てて弁解しはじめた。

「先生…」

「何?」

「声でかい…」

真人が笑った。

「しっ失礼ねぇ」

琴も頬を膨らませながらニコリとした。
嫌な空気が一瞬で消える。
白衣は偶然にすぎない。
琴はその時はそう思うことにした。

「白居くん、カーテンも開けててくれたのね。ありがとう」

「だって、この部屋夕日がスゴくキレイに見えるからさ」

「白居くんもそう思う!私もだから電気着けないでカーテン開けてたの!」

琴の明るい顔を見て、真人はホッとしていた。

「先生、あれ訳してきたよ」

そういうと、真人はカバンから歌詞のプリントとレポート用紙を取り出した。

「本当!」

嬉しそうに真人の席の前に椅子を持ってくる琴。
真人はわざと二枚の紙をヒラヒラさせる。

「先生さ、タイトルだけで歌詞選んだでしょ?これ、かなりエロい歌詞だったよ」

「えっ!?ホントに?」

顔を赤くする琴。

「でも、英詞の部分はマシだったから安心して」

「白居くん、読んで」

真人はプリントの歌詞を指でなぞりながら読んでいった。