白い吐息


「何よマニアックって」

口を尖らせる琴。

「CRYSTALつったら、1番人気はアレだろ…天宮優仁だっけ?ドラマとか多い奴」

「そっ…そうだけど、それがどうしたの?」

「だって先生は上原ファンなんだろ。マニアックじゃん」

勝ち誇ったような真人の笑顔にカチンとくる琴。

「そりゃー、上原くんは天宮くんに比べたら人気はないかもしれないけど、私的にはスゴくタイプなの!顔だってキレイだし!」

立ち上がりムキになって熱弁する琴に、真人はかなりドン引きだった。

「しっ…失礼」

琴はコホンと咳払いをし、落ち着いて座り直した。

「あんたって変なセンセーだな」

目を閉じてうっすら微笑む真人はとてもキレイで、琴は"あんた"と呼ばれたことに気付かないほど見とれてしまっていた。

そーいえば…

「上原くんに似てるかも…」

小声で呟く。

「へっ?」

「あー!なんでもない。なんでもない」

琴は顔の前で両手をブンブン振る。

ついつい下らない話で盛り上がってしまった。
でも、こんな風に話せて良かったと琴は思っていた。