白い吐息


眠気が一気に覚め、顔は真っ赤に染まった。

「先生?」

「白居…くん…」

そう、そこに立っていたのは制服姿の白居真人だった。

「白居くん…何で…どしたの…?」

動揺を隠せない琴。

「いや、昨日のお礼にと思って…」

「お礼って…学校…まだ時間早いじゃない…」

学校でいいじゃないと言おうとした琴だったが、急に自殺未遂のことが頭をよぎった。

「早く言いたかったから」

真人は少し目をそらした。

ガチャ…

隣の部屋のドアが開きそうになっていた。

「とりあえず中入って!」

琴は真人の腕を掴んで部屋に引き入れた。

パタン…

狭い玄関に立つ2人。
身体が密接している。
琴は一瞬ドキッとした。

「先生、スゲー髪」

真人がクスクス笑った。

慌てて玄関から離れる琴。

「とっ突然来て笑わないでよ」

「先生、素っぴんも可愛いね」

真人は爽やかに言った。



サイアク…



「汚いけどあがって…」

頭を押さえながら呼び入れる琴。

「おじゃましまーす」

部屋は投げっぱなしのカバン、昨日食べたカップラーメンのカラ、飲み干したビールの缶、そしてさっき落とした布団等で散らかっていた。