「えっ?コレ長谷川先生が作ったの!?」
「そうよ。自分のお祝いなのにね」
琴は笑った。
「ホント!長谷川先生の料理は美味しいですよね」
感心する田口先生。
「あんたも見習ったら?」
関口先生は田口先生の頭をコツンと叩く。
田口先生と真人は既に別れていた。
別れを切り出したのは田口先生の方からだった。
真人の気持ちがずっと琴を向いていることに気付いてしまったから。
真人はただひたすら謝るしかなかった。
「じゃあ、田口先生の料理の試食は僕が引き受けますよ」
ジェントルマンを気取る森下。
「えぇー!森下先生は嫌ですよー。戸部くんがいいな」
「先生、マジ!?」
森下の辞表は撤去された。
琴が校長に頼んだのだ。
森下には嫌な思いを沢山させられた琴だったが、色々な真実を知って、彼の気持ちも理解することが出来た。
それに何より、命の恩人を放って置くことが出来なかったのだ。
「お誕生日おめでとう」
琴は隣にいる真人に話し掛けた。
「ありがとう」
琴が真人に会うのは、あの日以来だった。
なんだか少し大人っぽくなった真人だけど、もう白居先生を重ねて見せることはなかった。

