白い吐息


「何でもない…か」

呟く琴。

そういうときは、大体何でもよくないとき。
彼女は少し気になったが、明日聞けばいいと思い携帯電話をたたんだ。



ちょっと待て…


琴は大事なことに気付かずにいた。


何で?


携帯電話を握り締める琴。




何で白居くんが私の携帯番号知ってるの?





琴はしばらく立ち止まり考えた。
しかし、答えは出ない。
白居真人の母親に何か渡した訳でもない。
個人情報保護の為、学校の連絡簿がある訳でもない。
仮にあったとしても、携帯番号を載せるはずがない。


琴にまた謎がひとつ増えた。

白居真人と出会って、たったの3日、なのに琴のペースはこの3日間でぐちゃぐちゃに崩れていた。

彼の名前が全く別の名前だったら、こんなに深く入り込んだりはしなかっただろう。
偶然とは恐ろしいもので、ときに必然となり運命へと変化する。


「…先生…。先生は運命なんて嫌いって言ってたね…」

琴は顔を上げ、遠くの空に向かって言った。