「でも、こうして目が覚めたんだから平気だよ」
「…私…、屋上から落ちたことしか…覚えてないの…」
琴は悲しい目をした。
「琴子は学校のプールに落ちたんだよ。しかも一番深いところ」
「…プール?」
「冬のプールだから、コケだらけだったけど…森下先生が近くにいて、直ぐに助けてくれたんだ」
「…森下先生…が?」
「森下先生は白居先生の従兄弟なんだ…」
従兄弟…?
「だから、真人さんを事故に巻き込んだオレを憎んでたんだ。あの人も真人さんをスゴく尊敬してたから、オレが真人さんの兄弟だってことも嫌だったんだと思う」
兄弟…
そうか…
2人は兄弟なんだもんね…
「琴子にも嫌がらせしてたのは、琴子が真人さんに愛された人だったからなんだって、やっと分かったよ。本人は今スゴく反省してるよ。学校にも辞表出してたみたいだし」
「なんか…色々…あったんだね」
「琴子のことは事件にはなってないから安心して」
真人は優しく微笑んだ。
しばらくすると琴の両親がやって来て、目覚めた娘の姿に号泣した。
真人はそっと部屋を後にした。
「それって、正に童話ね」

