『オレも』
『絶対…忘れないよ』
『うん…』
『忘れないからね…』
『わかった』
『冬が…冬が来たら、空にいっぱい息を吐くから…』
『息?』
『私が幸せな分だけ、白い息を吐くから。…だから、ちゃんと見ててね』
『うん。ちゃんと見てる』
『…先生』
『さよなら…琴子』
『……さ…さよなら』
『そんな悲しい顔すんな!』
『はい!』
『バイバイ琴子』
『バイバイ先生』
『バイバイ…』
さよなら…
さよなら先生…
さよなら…私の初恋…
さよなら
さよなら
そして
ありがとう…
コンコン…
真人は病室をノックした。
返事が返ってこないのを知りながら。
「し…失礼します」
部屋に入り、そっとドアを閉める。
真人の腕にはバラの花束が抱えられていた。
ベッドの横に来て、琴の顔を確認する真人。
「…泣いてる」

