消えなきゃいけない…



サビていた柵を見つけ、僕はすんなり柵の外へ出た。



足がガクガク震える。

僕は柵にしがみ付いた。

3階建ての校舎。
下を見ると木々が風に吹かれて揺れていた。


寒い…



誰か…

早く僕を助けてよ…


助けにきてよ…


見捨てないでよ…






真人さん…





矛盾した気持ちでいっぱいになった。


消えてしまいたいと何度も思った。

でも、死ぬのは嫌だった。

どうして…


こんな気持ち、理解してくれる人なんているだろうか?


柵が冷たい。


手を離したら…

落ちたら…



誰か泣いてくれるかな?




そんなことを考えながら、数時間が経過した。


ズボンが尿で汚れた。

心のどこかで汚いと叫ぶ自分がいた。



だんだんと気が遠くなってゆく。


辺りは真っ暗。


寒さは増して、身体が激しく震えた。



寒い…


冷たい…


帰りたい…





でも






もう…帰れない。



キシキシと音を立てる柵。
サビた部分が風にあおられて今にも壊れそうだった。


その時初めて、
僕は心臓がバクバク音を立てていることに気付いた。