白い吐息

はにかむ戸部。

「きっと、大丈夫よ。あの2人なら」













ピンポーン…


白居家のインターフォンが鳴った。


真人の母が恐る恐る室内の受話器を取る。

「…どちらさまです?」


「「真人くんの学校の教師をしている田口と申します」」

「…田口さん?」

「「はい。息子さんの身体の具合が気になったもので」」

「…あの…失礼ですが、長谷川先生はご一緒ではないのですか?」

「「長谷川先生…ですか?」」

「はい。真人のことは、長谷川先生にお願いしていたものですから…」

「「…お願い?」」

「…真人のことは長谷川先生がよく知っていらっしゃるので」


「「そ…ですか」」

プツ─

突然のごとく切れたインターフォンに戸惑いを感じ、真人の母は窓から外を覗いた。

肩を落とした田口先生が足早に立ち去って行くのが見えた。


真人…

何かあったの?

何処に居るの?

携帯が繋がらないのは、初めてよ……

「信じていいの?」

真人…



ごめんなさい…



全部私のせいなのに…





『お母さん…なんで…何で泣いてるの?』


『…真人』


『勉強なら、ちゃんとするから泣かないで…』