白い吐息


死んでないの!


周りの人が私の身体を押さえた。


邪魔よ……




「長谷川!!」

担任に肩を掴まれ大声で怒鳴られた。




力が抜ける。



もう…

終わり…?



先生の母親らしき人が号泣していた。




なにそれ…


ズルいよ…



私は力の抜けた身体で、先生に覆いかぶさった。


そして産まれてきたとき以上の大きな声で悲鳴のように泣いた。

病院中に響くように。









それから私が病院でどうしたのか、どうやって家に帰ったのかは本当に覚えていない…。


ただ空から淡い雪が降ってくる、そんな幻をみた。

私はそんな夜空に向かって大きく息を吐いたんだ。



白い…白い吐息。





先生の息が好きだった。

先生の吐いた息を吸い込みたかった。




もう…



先生は息を吐いてはくれない…



先生は…




先生…は…







死んでしまったの…




信じたくない

信じられないけど…




もう…

もう二度と


私を呼んでくれないの…




私に笑いかけてくれないの…



もう二度と…




戻れないの。