「…ぁ…オレ…」
まばたきするように、真人は目を覚ました。
「まな…白居くん?」
「…うん…」
間違いなく真人の声だった。
不思議な出来事を目の前にした琴だったが、意外と怖いという感情はわかなかった。
「また、怖い夢見てた?」
琴は聞く。
「ぁ…うん…」
真人は自分の顔に残った涙を触って首を傾げた。
魂……
「白居くん、私ね、今白居先生と話してたの」
琴は唐突に言った。
「…邪魔…した?」
「……知ってるの?」
真人…
「あの人…オレの中にいるんだろ」
「いつから知ってたの?」
真人…
「最近だよ…悪夢を見るようになってから」
「そう…」
琴はそれしか言えなかった。
「なんとなくは気付いていたんだ…たまに自分が自分でない気がしてたから」
真人は包帯を巻かれた左手を見つめていた。
「オレが左利きになったの…あの人のせいだと思う」
「……」
「森下を階段から突き落としたのも、あの人のせいだと思う」
「そう…なんだ」
「森下が、長谷川先生に酷いことしたから…」
「…私?」
「あの人、あなたが好きだったから…」
白居先生が…

