ぎこちなさそうに中に入る田口先生。

「田口先生、ここどうぞ」

席を譲る琴。

「あの…」

「何?」

田口先生の少し緊張した声に関口先生が返事をする。

「質問して、いいですか?」

「何を?」




「教師と生徒の恋愛って…ありですか?」


その予期せぬ質問にドキッとする琴。

「いいんじゃない」

関口先生は全く動じない。


「そう…ですか…」

「どうしたの?好きな子でも出来たの?」

まるでお母さんのような関口先生。


「…告白…されたんです」

「へぇ。付き合うの?」

「付き合いたいと思ってしまうなんて…教師失格ですよね」

「そんなことないわよ」

琴は身を縮めて2人の会話を聞いていた。

「でも…」

「好きなら仕方ないじゃない」

「そうですか?」

「で、誰なの?」

「なんか…恥ずかしい」

「何ブリッコしてるのよ、いつもとキャラ違うじゃない」

関口先生が豪快に田口先生の背中を叩く。



「…白居くん…です」





えっ…




「2-Bの白居真人くんです…」


ハニカム田口先生の横で、関口先生の表情が崩れた。



白居…真人…



琴のスプーンが床に落ちた。