『…じゃあ…何で?』
『お父さんには新しい家族がいる…。だから話せなかったの…』
『いや、…そんなことじゃなくて…母さんは…』
『私は真人がいればいいの…』
『母さん…』
『真人…愛してるわ…』
真人…
真人…
愛してる…
だから
守りたいの……
「あんたもバカな女だな…」
「…っ…ぁぁ…」
何で…?
「オレが嘘をついているとか…考えなかった訳?」
嘘…!
「白居のことしか頭になかったか…」
「…ぅ…ぅそ…なの…?」
「…さあね?」
森下が琴の身体を支配していく。
悪魔のような手が機械のような細かい動きで彼女の肉体を狂わせていった。
「…たっ…」
助けて…真人…
真人…
こぼれ落ちる悲しみの雫。
真人…
ごめんなさい…
「約束は守りますよ。長谷川先生…」
森下は床に倒れ意識をなくした琴を放置したまま資料室を後にした。
「…ん?」
「久しぶり…」
「白居?」
夕暮れの廊下で2人はすれ違った。
「階段…痛かった?」
「……?」
森下はゾクっとして振り返った。

