「琴子のおかげだよ」
「良かった…」
「琴子は?」
「私?」
「夢とか、見ない?」
「……見ないよ」
「たまにはオレの夢とか見てよ…」
「…んっ…」
「琴子…」
「……ぁっ…」
嘘をついたの…
真実じゃないことを話したの…
罪の意識を感じた
嘘には
罪があるんだね…
秘密には
罪はないよね……
『先生、何か落ちたよ』
『ん?』
『手紙?』
『あぁ〜…』
『…?』
『ラブレター貰っちゃった』
『ホントに?』
『何?琴子、気になるの?』
『べっ…別にそういう訳じゃありません。ただ、ラブレターなんて古くさいなって思っただけです』
『顔、怖いよ』
『…こっ、こんな意地悪先生のどこがいいんだろう?分からないな!』
『まず顔だろ。スタイルだろ。頭の良さだろ。スポーツ万能な所だろ。それから…』
『自分で言ってて、虚しくないですか?』
『ないよ。それに人を褒めるの得意だから』
『人って、自分じゃん』
『琴子のことも褒めてあげようか?』
『…無理に褒めてくれなくても結構です』
『無理じゃないよ』

