「琴子…」
「安心して。今の話を聞いたのは彼女としてだから、学校に言ったりしないよ」
そう言って、また真人の肩に寄り掛かる琴。
「……」
「彼女ってのは、やっぱり不満?」
「へっ?」
間の抜けた顔をする真人。
「真人、私のこと彼女だって思ってないのかなと思って」
「どうして?」
「真人が必要としてるのは教師としての私のような気がしてたから…」
だんだんと声を小さくする琴の手を優しく握る真人。
そして唇に運びキスをする。
まるで王子様のように。
「オレは琴子に一目惚れしたんだ。教師だからとか、普通の女だからとか、そんな理由はないよ」
「…真人」
頬を紅葉させる琴。
「オレが好きなのは、今目の前にいる人、ただそれだけ」
真人は笑ってみせる。
「私、彼女?」
意地悪く聞く琴。
「彼女だよ」
真人はハニカミながら答えた。
そっと目をつぶって、どちらからともなく唇を重ねる2人。
真人が優しく何度も琴の髪を撫でる。
「…ねぇ、琴子?」
「…何?」
「なんでもない…」
「なんでもないは、なんでもなくないときに使う言葉よ」
琴は真人にデコピンした。
「…今夜も、…一緒でいいの?」
照れながら聞く。

