白い吐息


「…ねぇ、真人」

琴は身体をそらし、真人の目を見つめた。


聞かなきゃ…
何も解決しない…

「真人は、森下先生に…どんな弱みを握られてるの?」

「琴子…」

明らかに驚いた様子の真人。
それでも、琴は続けた。

「盗聴や盗撮だけじゃなく、家のことで何か弱みを握られてるよね」

「それは…」

真人は目を反らした。

「日誌、読んだの。真人、森下先生に毎回メッセージ送ってたでしょ?」

「…琴子には、関係ないよ」

「関係あるよ。私、真人が好きなんだよ…心配なんだよ」

うつむき、歯を食い縛る琴。
そんな琴の様子を真人は横目で静かに伺う。

「ゴメン…。ただ、琴子を巻き込みたくないから…」

頭を抱える真人。

「もう、巻き込まれてるよ…」

私の頭の中は、真人でいっぱいなんだよ…

「…そう…だよな」

淋しそうに呟く真人。

「教えて、真人」

「……」

「真人」

「オレ、森下に借りがあるんだ。オレっていうか親父も含めてなんだけど…」

「借り?」

父親…
高校入学したときには既に家に居なかった…父親?





「オレ、裏口入学なんだ…」


「えっ…」

琴は呆然とする。