白い吐息


「あっ…ごめん」

真っ赤になった顔を隠すように下を向く琴。

「いや、オレも早く戻れなかったから悪いんだけどさ…なんか、上原燈夜に間違われて騒がれちゃって…」

頭をかく真人。



上原燈夜…



その名前を聞いただけで琴の胸は大きく脈うつ。


やだやだ…
真人に聞こえちゃう!



琴も地べたにペタンと座りこんでしまった。
そしてうつむいたままプルプルと震える。

寒さじゃなく、別の意味で。

「琴子?」

手を差し伸べる真人。

「……」

「…やっぱり、怒ってる?」

やだー!
顔、覗かないで!

琴は手で顔を覆った。


「…ごめん…なさい」

渋々謝る真人。

なんで謝るのよ!
バカー!

ついには膝を抱える琴。

「琴子。スカートめくれてる」

「エッチ!真人の変態!」

赤い顔を上げ、スカートを正す琴。

「なんだよ!教えてやっただけだろ!」

「でもパンツ見たでしょ!?」

「タイツ履いてるのに見えるかよ!」

「ぅ〜…もう嫌だ!」

「何が?」

「真人のせいでグチャグチャだよ〜」

「グチャグチャ?」

首を傾げる真人。

「せっかく…せっかく…最前列だったのにぃ…」

半べそな琴。