鏡の前に立ち、スグに買ったピアスを着ける真人。

「どう?」

「髪の毛であんまり見えないね」

琴は苦笑いする。

「じゃあ、この羽根は琴子だけが知ってる秘密だな」

「だね…」

少女のようにキュンとときめく琴。

「琴子はピアスしないの?」

「私はマグネット派なんだ。穴開けるの怖くって」

「オレ、安全ピンで開けたよ」

「ホントに?」

「今度、鼻に開けようかな」

「やめてよ。せっかくキレイな顔なのにぃ」

「冗談だよ」

と言って、真人は琴の肩を抱き寄せた。

「ねぇ、私みたいなのが隣にいていいのかな?」

ドキドキしながら琴が問う。

「何言ってんの今更」

「だって…」

真人はキレイでカッコいいけど、私は真人世代から見たら、やっぱりオバチャンだし…

「琴子、あのガラス見て?」

「ガラス?」

店と通路を区切っているガラスに2人の姿が写っていた。

「オレたち、超お似合いじゃん」

「……」

「こうしてると教師と生徒には全く見えないね」

「……」

「完璧恋人同士!」

真人…

彼の優しさが琴の胸に響いて暖かい気持ちが染み込む。
琴は嬉しくて泣きそうになったが、必死にこらえていた。