『まぁ、パソコンなんかの変換では一発で出てこないけどな』
『琴は簡単に出ます』
『そりゃ、そーだろうね』
『先生の名前、意味はあるんですか?』
『意味?』
『ん〜。例えば、真剣な人間になるようにとか』
『はぁ?…真剣な人間って何だよそれ』
『例えばですよ』
『琴はどんな意味がある?』
『私?』
『うん』
『…琴の音色のような、優しくて美しい子に育つように……って、お父さんが』
『ピッタリだな』
『…////』
『オレの名前も親父がつけたんだ。…でも、今はいないから意味は分からないや…』
『いない?』
『名前呼んでもらった記憶もねーよ』
「何でココにいるのかしら?」
保健室にいつものように響く関口先生の声。
「……」
「今日はライヴだから、お休みなはずだったわよね」
「関口先生も…何でいるんですか?」
「トラブルが起こるような予感がしたから」
「ひどい…」
「ひどくないでしょ。心配してあげてるのに」
「心配なんかしなくていいよ……」
「ん?」
「って、真人に言われました…」
琴は持っているハンドタオルでずっと目元を押さえていた。

