2人の真人か…
『オレも真人って名前なんだ』
『同じ…?』
『字も同じだよ。真実の真に人』
『…そうなんだ』
『でも性格は真逆だな』
『……』
『学校、嫌いか?』
『別に…』
『じゃあ好きか?』
『別に…』
『どっちだよ?』
『どっちでもないよ』
『どうでもいいってことか』
『……』
『友達は?』
『近所の奴が1人』
『そいつ、イイ奴だろ?』
『うん』
『大事にしろよ』
『うん』
『オレ、また来てもいいか?』
『…?』
『お前ともっと話がしたいからさ』
『うん』
『駅の駐輪場借りることにしたよ。ここから駅まで歩く時間が勿体ないからさ』
『そう』
『素っ気ない奴だな。誰に似たんだよ?』
あなたは言った
『やっぱ親父かな』
あなたは母親に似て、明るかった
父の愛した人に似てるあなた
そんなあなたを、父さんが大切に思うのは当たり前だった
真人
父さんは、その名前が呼びたかったんだ…
「…と?」
誰?
「真人、大丈夫?」
「…琴子、どうしたの?」
寝袋の中で真人がうっすら目を開いた。
「うなされてたよ…」
琴は心配そうに真人を見つめた。

