白い吐息

リモコンで照明を消す琴。
部屋は真っ暗になり、窓から月明かりが少しだけ入ってくる。

「真人…怖くない?」

優しく聞く琴。

「えっ?」

「夢、見るの」

「…琴子が側にいるから大丈夫だよ」

「怖くなったら、起こしてね」

「…ぅん」

そうして2人は眠りへと落ちていった。











はずだった。

「ふぁ〜…」

いつもよりデカイあくびで伸びをする琴。
その日も採点の為朝から学校に来ていた。

「寝てないんですか長谷川先生」

昨日関口先生が座っていた席に今度は田口先生が座っていた。

「ぁ…あぁ、仕事に集中しちゃって」

「の割りには減ってないですね。採点用紙」

田口先生は可愛い顔でニッコリ笑ってオノを振り落とす。
恐ろしい天然腹黒星人だ。

「そーですか?頑張ったのに…」

琴もぎこちなく笑う。

「ホントは彼氏がお泊まりに来てたりして」

ギクッ―

琴は咳払いをして、わざとらしく髪をかきあげた。

「田口先生…?」

確かに昨夜、琴はなかなか寝付けなかった。
原因は勿論真人。
色んな意味で気になって仕方なかったのだ。

「何ですか?」

「CRYSTALのクリスマスライヴ、落選しました」