お前がカワイイから…
「本当に寝袋で寝るの?」
「琴子、一緒に寝たいの?」
寝袋を開きながら真人が淡々と言う。
「違うわよ!」
「ホント、免疫ないね」
赤面して後ろを向く琴に笑いながら話す真人。
「悪かったわね」
琴は枕を抱き締めボソッと言った。
「風呂は明日の朝借りるね」
「何で?今入らないの」
振り向く琴。
「琴子が寝てる間に入るよ。着替えもコインランドリーで洗うから心配しないで」
「そこまでしなくてもいいのに」
「そこまでしないとオレがダメなの」
「何で?」
琴が上目遣いで真人の顔を覗き込む。
少し濡れた髪が真人の肌に触れる。
「そーゆーのがダメなの!」
真人は慌てて琴から離れた。
琴は不思議そうな顔をしながら真人を眺める。
「見ないで」
視線が気になる真人。
「そんなとこで寝るの?」
真人はキッチンギリギリのところに寝袋を用意していた。
「ここで横になれば、ベッドの上の琴子見えないし、そっちからも見えなくなるだろ」
そう言いながら寝袋に入る真人。
「変なの」
琴もベッドに潜る。
変なのはそっちだから…
「電気消すよ」
「うん」

