「話って、そのことだけ?」
「いや…」
「もっと大事な話があるから学校まで来たんでしょ?どうしたの。いつもの戸部くんらしくないね」
「あっ…あぁスミマセン」
目を泳がせながら戸部は立ち上がった。
「何で謝るの?」
小さく笑う琴。
「…なんか、話しづらくなっちゃったな」
「そう言われると気になるじゃない」
真人のことは何でも知りたい
私を不安にさせることばかりだけど
知らないよりはいいの
好きだから…
「あいつ、最近元気ないと思いません?」
戸部は窓の外に語り掛けるように言った。
助けて…
助けて、琴子…
唾を飲み込む琴。
「どしたの先生?」
「いや…さすが親友の戸部くんだね。ちゃんと見てるんだ」
「別に親友ってほど深くはないよ。家が近所の腐れ縁なだけ」
「そんな悲しいこと言わないでよ」
琴も立ち上がり、戸部の肩に手を置く。
「だって、あいつ。オレに何も話してくれないし」
それは私も同じだ
琴は淋しそうに笑った。
「親しい仲じゃなかったら、そんなに心配しないよ」
「一方通行だけど」
「片思いだね」
琴の言葉に戸部は笑みを浮かべる。

