「…やだなぁ…また泣いてる」
琴はブラウスの袖で目頭を押さえた。
そして上を向く。
涙がとまるまで…。
「どう?自分の本当の気持ちには気付いた?」
その声に、琴はハッとして振り向いた。
「関口…先生…」
鼻水をすすりながら目を見開く琴。
ドアの近くにはニッコリ微笑んだ関口先生の姿があった。
「分かったみたいね」
「先生…何で…?」
「あまり遅いから迎えに来たのよ」
「はっ……?」
琴の目が点になった。
「あんたのことだから、スグに保健室に飛んでくると思ったのに。結構粘ったわね」
「……」
琴はいまいち状況を掴めずにいた。
「まっ、ひとりで泣く分大人になったってことか」
関口先生は納得したかのように首を縦に振った。
「…何の話ですか?」

