「お帰り、不良娘」

家に帰ると玄関でお兄ちゃんが迎えてくれた。

腕を組みながら壁によりかかり、

その姿は何処か不機嫌そう。


「ただいま」

靴を脱いで家の中に入って行く。

「遅かったな」

“遅かった”そう言われて時計を見ると時刻はもうすぐ
8時になろうとしている。


確かに今日は遅いかも


「ごめんなさい」

きょうやくんと一緒に過ごした時間は

初めてなのに楽しくて、つい時間を忘れてしまうほどだった。

「まぁ別にいいけど」

「お母さんは?」

「夜勤だよそれより..」

がしっと腕を掴まれて睨まれた。

お兄ちゃん..?

「誰と会ってたんだ?」

「誰って..友達..」

「男か..」

「うん」

「付き合ってんのか?」

「え?」

「いや、何でもない。飯、出来てるぞ」


掴まれていた腕がとかれると黙ったまま部屋に向かう。


お兄ちゃん、どうしたんだろう?

後ろ姿を見ながら入ってすぐにある自分の部屋に入った。