「あぁ!!あの時声をかけてくれた!?」


確かに私が泣いていた時、男の子の声が聞こえて。

走って逃げた記憶がある。


「そうそう、それ。俺の事!」


まるで私の考えてる事が分かっているような言い方で
人差し指を立てて私に向ける。


「あの時はどうもすみませんでした」


ぺこりとお辞儀をすると

「いやいや」

手を左右にブンブン振る。


「誰か待ってるんですか?」

「うん。君の事。待ってたんだ」

は?

「さぁ行こうか」

そう言うなり、私の腕を引っ張りどんどん先に進んで行く。


「え、ちょっと!」