「センセ、おはよう」
職員室での朝礼が終わり、
数学教員室に入ろうとした時だった。
後ろから甘い声がして振り返ると
そこには一人の女子生徒が笑顔で立っていた。
確か彼女は
「おはよう、斎藤さん」
彼女の笑顔に答えるようにして俺も笑顔で返す。
「嬉しい、覚えていてくれたんですか?」
ぱぁっと笑顔を見せパチンと手を叩く彼女に
「もちろん、僕の担当クラスの生徒さんは
全員把握しているよ」
「センセ、あたし数学係になったの。
これから数学の時間の前にセンセの所に行くからね」
「はい、待ってます」
自分を過大評価しているわけではないけれど
今までの経験上、自分が女の子に
どのように見られているかくらい知っていた。
実際、今も目の前にいるこの少女は
頬を少し赤らめながら僕と話している。


