私の言葉に
「君は上手だね」
先生がそう言いながら小さく笑う。
思ったよりも可愛い顔をして笑う先生に
何故か心臓がドキンと高鳴る。
「うちの前は何処にいたんですか?」
「前は先生じゃなかったんだ。普通の会社員だった」
「そう、なんですか」
じゃあどうして?なんて、初めて会った人に対して失礼だよね。
出て来そうになった言葉を飲み込んで黙って先生の
話に耳を傾ける。
「そう、それでね・・」
優しい風が吹く中の楽しい会話は
時間をあっという間に忘れてしまうほどだった。
先生の優しい穏やかな言葉が声が
脳の中に焼きつくように
どんどんインプットされていく。
こんなに誰かと初対面で話をしたのは
久しぶりだ。
「それじゃあ私、こっちなんで」


