お互い名前を知らず、それでも二人はまるでずっと互いの事を知っているかのように楽しそうに遊んでいた。




彼の笑顔も、頭を撫でてくれるところもすぐに好きになった。


普段ならつまらない二人鬼ごっこも、だるまさんが転んだも
いつもより楽しく感じる。



もっともっと一緒にいたい。


時間なんて過ぎなきゃいい。




だけれど。


あたりは既に暗くなっており、太陽もいつの間にか沈んでいる。



頼りない街灯と月の明かりだけでは遊ぶ事も出来ない。

何よりも彼女の親の事を心配した少年は



「そろそろ帰ろう」


少女に別れを切り出した。



しかし少女は

「絶対にヤダ!!」

駄々をこねて彼を離そうとしなかった。



今思えば

この時、少女が素直に別れを受け入れれば・・



そうすれば全てが変わっていたかもしれない。

だがそれは後悔しても遅い事。