陸斗のその優しさが

少しだけ尖った心を和ませてくれる。


「ありがとう、じゃねぇよ」

「大丈夫だから」


そう、俺をこんな気持ちにさせたのも

大切な全てを失う事になったのも。

全部全部アイツの

“みれい”のせい。


「なぁ、愁夜、頼む。こんな事しといてなんだけど響夜や
オバサンを悲しませるようなことだけは」

「分かってる、しないよ。大丈夫。ただ一言だけ言いたかっただけなんだ」

「それだけだぞ、決して変な事は」

「考えてないさ、大丈夫だよ」



陸斗は少しだけ安心したような顔つきになると

保健室へと足を向けた。



すまない、陸斗。


この十数年の間、ずっと考えてきたんだ。

そして導きだされた一つの結論。


「悪いな、陸斗」


もう誰にも止められない。

たとえ俺の気持ちを一番に知ってくれているお前でも

それを止める事は出来ない。


俺は・・俺は


“みれい”を――――