二人で腰かけたベンチに先生はわざと距離を置くようにして
座った。
「ごめん、俺は君を殺そうとした」
深々とお辞儀をして謝る。
先生、もういいんだよ。
先生の気持ちはよくわかってるから。
本当に分かってるから。
それに...
「私の方こそすみませんでした。お葬式以来何も出来なくて」
私も同じように頭を下げて謝る。
「いや、俺の方が」
「ううん、私の方が..」
そう言いかけて
二人で顔を合わせると笑いあう。
「俺は今度は君にしたことへの罪を償いたい」
「先生..」
「この2カ月、ずっと考えたんだ、君の事、亡くなった家族の事を。」
「はい」
「どうしてだろうか、あんなに君が憎かったはずなのに。君を想うと
此処が..心がとても温かくなっていくんだ」
「..は、い」
「おかしいだろ?ついこの前までは君を怨んでいたのにな」
「そんな事は」
「でも」
「それに何処かで思っていたんだ、こんな事したって何も変わらない。
いつまでも前に進めはしないってね」


