「今頃何をしてるんだろうな」
先生を見送った後、空を見上げる。
空が高い。雲が遠くに感じる。
季節は徐々に冬へと向かっている。
「おかしいよね」
頭では分かっているのに
会いたくなる、一目だけでも会いたくなるの。
年が明ければすぐにセンター試験が始まる。
他のみんなはもう志望校に向けて着々と勉強をしている。
私は...何をしているんだろう?
やらなくちゃいけない事はすぐ目の前にあるのに。
授業終了のチャイムと共に学校を出てゆっくりと歩き出す。
恭哉くんも受験で忙しいらしく、最近は顔を見せない。
歩くたびにカサ、カサっと葉がわれる音を聞きながら
いつもの並木道を歩く。
「先生...」
ポツリとそう呟いた時だった。
「こんにちは、生徒さん」


