陸斗先生の声にいち早く反応したのはお兄ちゃんだった。


しまった..私なんてことを口にしてしまったんだろう。


「海咲、愁夜がいるのか、ここに」

険しい顔をして言いよって来る。

「あ、うん。学校の先生なの。でもね私を助けてくれて」


こんなに恐いお兄ちゃんを見たのは初めてで。

体が震える。


陸斗先生も心配そうな顔で見つめる。


「あいつと..話をしたのか?」

「うん」

「あの事もか?」

「あの事?って..事件の」

「母さんの事だよ!母さんの事も!」

「え?お母さん?」


聞き返す私に

「いや、何でもない。帰るぞ」

「え、ちょっと!」

いきなり手を引っ張られて保健室を後にした。


お兄ちゃん?

お母さんの事って一体、どういう事?