真っ暗な視界の中で聞こえてくる陸斗先生と愁夜先生の会話。



違うよ、陸斗先生。

私そんないい子じゃない。

私がもっと早く助けていたら、もっと早くに気付いて言っていたら

そしたら..そしたら...


思いながら顔をゆっくり上げると

すぐ足もとに落ちていたカッターナイフに目がいく。


先生が殺してくれないのなら―――

私が自分で―――


しゃがみ込んでそれを拾い、まっすぐ見つめる。

何だ、最初からこうすれば良かったんだ。


「おい、美麗」

驚く陸斗先生の声に愁夜先生も振り返る。


「何を――」

「最初からこうすれば良かったんですよね、私」


止まらない涙を制服で拭い

ナイフから先生へと視線を動かす。


「先生、ごめんなさい」

「やめろ!美麗お前は何も悪くないって!!」

「でも!私のせいなんです!!私があんな遅くまで引き止めてさえいなければ
..全部、全部私の..」

「あの時あぁそればよかったなんて後悔したところで何も変わりは」

「変わります!!!」