「美麗言ってやれ、お前は何も悪くはない、むしろ響夜を救おうとした
ってな」

「陸斗お前、何を言っているんだ..」


この子は響夜を見捨てて逃げたんだぞ?

確かにそう、聞いたんだ。

母さんから..そう...


「調査してもらったんだ、あの事件の事をもう一度な。
あの日、事件のあった場所は人通りも少なく、はほとんど人はいなかった。
美麗を送り届けた後、帰ろうとした響夜の前にアイツらがわざとぶつかって来た。 
そして響夜に悪戯を始めた」

「そうだ、そして響夜は抵抗した」

「その抵抗に腹を立てた一人のヤツが今度は狂ったように響夜を殴り始めた」

「あぁ」

「奴らは何度も何度も殴った。まるで悲鳴を上げる響夜を
楽しむかのようにな」

「あぁ、ぼこぼこにされてた」


遺体は見れたものじゃなかった。

顔もぐしゃぐしゃで、体もあざだらけだった。

どんなに酷い目に遭ったのかそれは一目瞭然でわかった。

「でもそれの何処が違うんだ..俺は」

「言ったよな“美麗を送り届けた後”ってな」

「まさか..」

「美麗は知らなかったんだよ、響夜が殴られていた事を」


そんな..嘘だろう?