俺にどうしろって言うんだ。
時間は止まらないし巻き戻らない。
今更復讐を止めるだなんて
そんな事俺が許しても母さんは許してはくれない。
青年の話を聞いたその夜、俺はまた夢を見た。
薄暗くなる視界の中。
一人の少女が涙を流していた。
「ひく、ひっく」
俺は彼女に手を差し出す事も
慰めてやることも出来ない。
だって彼女は僕の大切な家族を失くしたから
「ごめんなさい、ごめ、んなさい」
何度も呟くように謝る少女。
手を差し出してしまったら
きっと母さんも響夜も
僕を恨むに違いない。
今更戻ることなんてできない。
やり直す事なんか出来ないんだ。
たとえ相手が初めて好きになった子でも
約束してしまったから
誓ってしまったから。
だから
だから俺は―――


