「愁夜が気付いた」

保健室にはるとすぐ陸斗先生が開口一番そう言った。



ミーンミーン。
外から騒がしい蝉の音が聞こえてくる。


その声に混じった先生の声はいつも以上に低くて
ちゃんと聞いていないと逃してしまうんじゃないかって思うほどだ。


「そう、ですか...」

「お前謝ったんだって?」


質問の意味がよく分からなかったけれど。


記憶をたどると、確かにあの日の夜、私は寝ている先生の姿を見ながら
何度も何度も謝った。


「聞こえてたんですね」

「愁夜は復讐するつもりだ」


やっぱりそうだったんだ。

そうだよね、家族を奪ったんだから当然だもの。


「もうすぐで情報があがってくる、そしたら愁夜にもきちんと
説明が出来るだからそれまで」

「ねぇ陸斗先生、私思うんです。今此処で海咲先生に真実を伝えても
本当に怒りは収まるでしょうか?」