「落ちつけよ。お前俺に言ったよな、あの子をただ見るだけだって。
会って、どんな生活をしているのか、見たいだけだって。そして
もし気付かれてしまっても謝ってもらえればそれでいいって..
お前そう言ったよな。」
「....」
「なぁ!!愁夜!!」
「俺は...復讐するために此処に来たんだ、そんなただ見てはいもういいですよ、
許します、なんて簡単に割り切れるわけないだろう?」
「愁夜、俺はそんな事ならお前にもう協力できない」
分かってるさ、お前がどんな人間かくらい。
「いいよ、後は俺が一人でやる、どっちにしろお前を巻き込むつもりは
なかったしな」
「愁夜!!」
「いいんだ、大丈夫。俺があの子を殺したって悲しむ家族もいない」
車はいつの間にか住宅街を走っていた。
もうすぐ自分の家に着く。
ここからはもう自分の足で歩く、そう決めた俺は
「下ろしてくれ」
陸斗に頼んで車を止めてもらう。
「心配してくれてありがとう」
ドアを開けてそう言った。
陸斗は無言のまま何も言わないままだった。


